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2006年4月29日 (土)

辛い日本蕎麦

「ねえ、何を食べる?」「麺!」
「白いの?黒いの?」「黒!」
俺はタイ語が出来ないから、ウチの会話は簡単な単語だけですむ。

「出来たわよ」と出されたのがこのスタイルだ。その姿を見て俺は思わずため息がでた。
「どうしたの?不味いの?」
まだ食っていないから、美味いか不味いかわからない。
今までに何度も日本蕎麦らしきものを出されているので、料理を作っているのを見て「ああ、またあれだな!」と諦めはついていた。

もりそばの場合のつけ汁は冷たいものと相場が決まっている。
しかしヌーは冷めたいつけ汁ではいけないと思い、熱いままのつけ汁をだす。

和食の場合、この料理にはこの器と決まっている。
蕎麦のつけ汁を入れる器も当然決まっている。
日本人は絶対に味噌汁のお椀に飯を、茶碗に味噌汁や漬物をいれることはない。
タイ人、少なくともヌチャナートの場合は器と料理の結びつけはない。
料理を並べることができる器ならどんなものでもいいのだ。
ラーメンの丼にトムヤンクンを入れてもヌチャナートは違和感をもたない。
さすがに汁物を皿にいれ、焼肉などを丼に入れるような食べにくいことはしない。R0016935

蕎麦のつけ汁を両耳のついたスープの器に入れるのは許そう。
瀬戸物の皿の上にスープの器を乗せている。これは西洋食のスタイルだ。
このスタイルだけ見ても、日本蕎麦の味ではなくなってしまう。
俺は諦めているから、悲しみを乗り越えて黙って出されているものを食べ始めた。
いつも辛い料理ばかりなので、辛味がないと物足りない。
一味唐辛子を探した。
「何を探しているの?」「唐辛子」
「生の唐辛子の方が美味しいわよ」おれは乾燥品を粉にした一味唐辛子を探していたのだ。
これは夫婦間の目に見えない隙間なのだ。
冷凍庫から赤い生の唐辛子を一本 出してきた。
それを刻んで全てをつけ汁のなかに入れた。

蕎麦をつけ汁につける。
箸で注意しながら蕎麦を持ち上げる。
そうしないと蕎麦と一緒に唐辛子を喰うことになる。
幾ら注意しても蕎麦に唐辛子が絡まってしまう。
目に見える唐辛子は取り除くことはできる。
蕎麦と蕎麦の間に隠れた唐辛子をどうしても食ってしまう。
こんなに辛い日本蕎麦なんてないぞ!

2006/4/29

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