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2006年4月29日 (土)

サトー

サトーと言われる酒がタイにある。もち米を醗酵させたドブロクと思えばよい。
ドブロクの製造は禁止されていたが、自家消費のための製造、貧しい農家が販売用に小規模に製造することは最近になって解禁されたとか聞いている。
アルコール濃度も低く12-3度程度だ。
舌で測定したものだから不正確だ。
まあ清酒よりちょっとアルコールが少ないなという感じだった。
地元の人が買いに行く酒屋に行って「サトーをください」と言うと買える。
日本と違ってタイは米がふんだんに取れる国だ。
其処の貧しい農家が作る酒だからサトーは安い。
何処の国でも貧しい人々が作ったもの、安いものは低級品と評価される。
評価というのは正当な価値判断に基づいて位置づけされるものだ。
この場合は「安いものは不味いもの」という偏見による位置づけだ。
ちょっと金を持つタイ人はサトーを飲まない。
貧乏人だけが飲む酒だ。
サトーには甘みと豊かな米の醗酵臭があり美味い酒だ。
日本人に馴染みがある味で表現すると、甘酒にアルコールを加えたような味だ。
ある農家のサトーを味わったら、雑菌が混入しちょっと酸味がでていた。
酒屋で買うサトーはちゃんと瓶詰めされている。
農家では瓶詰めをする手段がない。
手段はある。瓶にいれさえすればいいのだが、サトーを入れる瓶がないのだ。
ガラス瓶はリサイクル業者に売って換金するので、瓶がないのだ。
環境を重視しリサイクルしているのではない。
売れるもの、換金できるものは何でも売るのが貧農の生活手段だ。

ポリバケツなどで、もち米を醗酵させる。
もち米は酵母で溶かされてどろどろのお粥のようになる。
醗酵の進み具合を見ていて、サトーが出来上がるとポリバケツに手ごろな大きさの笊を押し込む。
笊の中には米は入り込まないので、笊の中には水分が溜まる。
その水分をすくって飲むのだ。
サトーは単純で素朴な酒なのだ。

日本の酒の話になる。R0016934
新潟の菊水酒造からだしている「ふなぐち菊水いちばん絞り」というのがある。
強いアルコールと香りに特徴がある、美味い酒だ。
他の酒よりも高い値段で売られている。
「この酒をヌチャナートに飲ませよう」と思って菊水を買って来た。
「ヌー、これを飲んでごらん。美味しい酒だよ」
ヌーは酒を口に含んだ。何かを考えている様子だ。
初めての食べ物を味見する時はいつもこのような顔つきになる。
「うん、美味しいわ。サトーと同じ香りがするわ」
そうだ、ヌチャナートが言うように菊水にはサトーと似たような香りがある。
高い酒を安い酒と一緒にされたので、少々腹がたった。
ヌチャナートの方が正しい。
美味い味、美味しい香りは値段と関係ない。

2006/4/29

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