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2006年6月12日 (月)

サンドイッチ

サンドイッチなんて簡単な料理だと思うだろう。俺たちにとっては簡単に作れる料理なのだ。
パンにバターを塗って何かを挟めばお終いだ。
タイの裕福な家庭なら、日本と同じようなスーパーや大型ショッピングセンターで買い物をする。
そのような店では食パンを売っている。
庶民は市場や近所の店、通りに並んだ行商人のおばさんから食材を買う。
食パンなんて売っていない。値段を調べていないからわからないが、食パンはタイの庶民には高価なものなのだ。庶民の口には入らない。たまにはサンドイッチを食べてみるだろうが、いちいちその作り方など観察していない。
食パンなんて自分達の生活に関係ない代物だ。バターなんてものを持っている家はない。
タイの庶民はサンドイッチの作り方を知らないのだ。

食パンといり卵があった。これで卵サンドイッチを作れる。
ヌチャナートはタイ料理なら手早く作る。しかしサンドイッチは作れないと言う。
「そんなことはないだろう?」ヌチャナートの言葉を無視していたら、ヌチャナートは自分でサンドイッチを作り始めた。
この食パンは厚切りだった。まずその厚切りの食パンを二枚の薄切りにしようとして諦めた。
毎日タイ飯なので、俺ん家にはバターもマーガリンもないのでマヨネーズを取り出した。
マヨネーズを星型の口からぎゅーっと絞った。そして食パンの上に丸く輪を描いた。
そこにいり卵を載せて終わりだ。
オープンサンドイッチという形を知らないヌチャナートはそこで行き詰った。
もう一枚のパンを載せたら厚過ぎて食べられない。
ヌチャナートはまた考えた。食パンを二つに折って「さあ食べろ」と俺の口におかしなサンドイッチを押し込もうとした。

サンドイッチのような簡単な料理でも経験がないと作れないものだということを学んだ。
味噌汁を二三回飲んだ西洋人に味噌汁を作らせてみよう。
豚骨でスープをとり、味噌を入れ、胡椒とカルダモンを加えパセリを浮かせる。
そんな味噌汁になるだろう。
ヌチャナートも味噌汁にニンニクの薄切りを入れて出してきた。
これは日本人の常識外の味だ。タイ人にしては常識内の味付けなのだ。
「サンドイッチも作れないなんて、ヌチャナートはおかしいのではないの?」と
思う人もいる。
そんな人に簡単なタイのサラダ、ヤムウンセンを作らせてみよう。
ヤムウンセンなら食べたことがある日本人でも、タイ人が作る味にはなかなかならないのだ。
俺たちがタイ料理を作ったら、タイ人が仰天するタイ料理になってしまう。
タイ人から見れば「こんな簡単な料理も作れないなんて日本人はバカじゃないの?」となる。
昔、「インド人も吃驚」というカレーの宣伝があった。
どのように吃驚するのかわからないが、日本のカレーを初めて食べたインド人は吃驚するだろう。
インドは大きな国だ。南と北では料理が違う。南のインド人が吃驚するのか、北のインド人が吃驚するのかわからない。

ヌチャナートには可哀想だったが、ヌチャナートが作ってくれたサンドイッチを笑ってしまった。
ラオスにはフランスパンのサンドイッチがある。
ラオス人なら食パンで美味しいサンドイッチを作るだろう。

2006/6/11

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