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2006年8月22日 (火)

タイで網漁

子供達を学校に送って行った後、知人の家に行った。
そこで話が弾み、網漁に行く事になったらしい。
この悪役みたいな顔つきの連中が酒を飲みながら計画を立てた。R0017816pct20
「網漁に行きましょうよ。綺麗な水があるのよ。とった魚を料理してあげるわ」
ヌチャナートは生き生きとしている。こんな所に綺麗な水などあるのか?少々疑問があった。
一度だけ綺麗な水の流れがある場所に行った事がある。
日本では綺麗な水の流れが当たり前なので、綺麗な水を見ても感激しなかった。
むしろ川にある岩に興味があった。タイの水はたいてい泥色の水だ。
この近くに綺麗な流れがあるのかもしれない。見る価値があるな。

町に出る積もりだったが、網漁など経験する機会が少ない。
網漁につきあうことにした。

家に戻り網漁に行く準備をした。俺はランニングにサンダル履きだ。
近くだからというのでこれで十分だと思った。
ヌチャナートは家から調味料とナイフ、氷を入れた大きな魔法瓶を
持ってきただけだ。これで料理ができるのか?
料理をすると言うのに鍋もコンロも持たない。ヌチャナートはこれで
十分だと自信に満ちた態度だ。
「ヌチャナートはこれで料理を作れるのだ」と別に心配もしなかった。
しかし鍋もコンロもなしにどうやって料理を作るのだ?
大丈夫、絶対に料理ができるはずだ。

バイクは順調に走っていた。近くだというのに、かなり走っている。
漁場に近づくと悪路になる。バイクは上下左右に揺れながら走り
続ける。雨期だというのに雨が降らない。お湿りのない道は完全
に砂漠になっている。二人乗りのバイクは走れない。
バイクから降りて砂漠の道を歩く。砂が熱い。
タイに砂漠があるなんて考えてもみなかった。砂で汚れた俺の足
はみるみるタイ人と同じような色になった。
小さな折れた草がサンダルと足の間に入る。その草は堅く鋭い!
痛い!サンダルと足の間に入った草を取り除く。こんな場所に来る
のなら靴を履いてくるべきだった。こんなからからでは田植えも
出来ない。農家の困窮が大きくなると心配しながら歩く。

暫く行くと草が生えた場所に来た。その先に大きな木が何本もあり
日陰を作っている場所がある。日陰がある場所にくると気持ちが
いい涼しい風が吹いている。R0017820pct20
タイの幽霊映画ナーンナックにでてくるようなあばら家がある。
ここは田圃仕事をする人たちが休憩したり寝泊まりする場所だそうだ。
自然に出来た涼しい場所に家を作ってあるのだ。
高床式家だ。これがこの地方の気候その他の条件にぴったりの家なのだ。
あばら家でぼろぼろの小屋だが入り口には鍵がかかっている。

ここに来るまでにあちこちで野菜や香辛料をとってきた。
あちこちに食い物があるから手ぶらで来ても大丈夫なことを理解
した。家に持ち帰る野菜まで取ってしまった。

小屋のある場所で男と女の役割分担が起きる。女はここで料理の
準備をする。男は網漁に出かける。R0017825pct20

男たちは収穫を終えた田圃の中を歩く。米はカオマリーだという。
英語でジャスミンライスという奴だ。ジャスミンの花の香りがする美味しい米だ。
日本で言えばコシヒカリ、ササニシキだ。カオマリーはタイが誇る米だ。田圃の先は草むらだ。
一体、何処に綺麗な水があるのだ?草むらは歩きずらい。靴を履いて来ればよかったと悔やむ。
擦り切れたゴム草履のタイ人は俺の前をぐんぐん歩いていく。
歩いているうちにコツを飲み込み、それほど苦労せずに歩けるよう
になった。やっと水辺に到着すると男達はパンツ一枚になって泥水
の沼に入って行く。R0017824pct20

まず定置網をはる。それから二人がかりで網を扱う漁をする。網を持った二人が沼の中ほどから岸に向かって歩く。5センチほどの小さな魚や田螺みたいな巻貝が取れる。
全員が十分に食べられる魚をとった。自然の中で生きる人々は必要な量をとったならそれ以上はけしてとらない。



網漁を岸から見ていた俺に一人の男が言う。
「お前はここを横切って近道して女の所に行け」
簡単に言うけど草深い場所だ。この辺りで蛇に噛まれて二人だか
三人が死んだと聞いている。蛇に気をつけながら歩いた。

女達が待つ場所に戻った。
「サミイ!マッチをもっているでしょ。そこに火をつけてよ。」
たき火の用意が出来ていた。椰子殻がそこら辺に転がっている。
毛のようなものが沢山ある椰子殻には簡単に火がつく。
鍋もないのにどうやって料理を作るのだ?
たき火を作りながらまだ疑問があった。
ボーイスカウトなどのキャンピングの教科書では大枝3本で支柱
を作り真ん中から鉄鍋を吊す。笑っちゃうけど鍋などない。
料理を作ると言ったがどうやるのだ????R0017836pct20

ヌチャナートはバナナの葉をとってきた。バナナの葉の上で茄子などを混ぜて即席のサラダを作った。

誰かが貝を持ってきていたのだ。バナナの葉に貝や、途中で取った野菜、香辛料を乗せ、ナンプラなど調味料と混ぜた。
全体をよくかき混ぜてバナナの葉で包んだ。ススキのような草でバナナの葉を縛り、
たき火にバナナの葉でできた丸い団子を入れた。
網漁で取ってきた魚も同じように調理した。なるほど、鍋などいらないはずだ。

焼き上がったバナナの包みはこんな具合になっている。
一種の蒸し上げ料理だ。R0017828pct20

手ぶらで川に出かけても、そこら辺にある材料で料理ができるのだ。
これは新鮮な驚きだった。

15センチほどの魚はレモングラスの茎を口から腹に刺してたき火で焼いた。
レモングラスをこのように使うなんて考えてもいなかった。日本人は、竹を探すか、小枝を探す。タイ人は草を探す。日本にはレモングラスなどないから、草を探すなんて考えられない。
ススキなら日本には沢山ある。同じ事をすすきでやれるかもしれない。

R0017830pct20 バナナの葉を切り落とすと、切り口から驚くほど水が溢れ出す。多分、この水は飲めると思う。バナナの葉は万能なのだ。
バナナの葉は鍋であり、食べ物をとる器であり、まな板であり、食事を並べるテーブルでもある。新鮮な緑の葉の上に並べられた料理は驚くほど美味しそうに見える。
バナナの葉を地面に敷き椅子の代わりにもなっている。
こんなにもバナナの葉が色々な用途に使えるとは思ってもいなかった。
これを見てバナナの葉が大好きになった。

2006・8・17

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