« 卵売り | トップページ | 蛇を食べるの? »

2006年8月22日 (火)

空飛ぶ野菜

  R0017666pct20_3 

「空飛ぶ野菜」を見るためにピサヌロークまで6時間のバスの旅をした。
ここの川岸にあるナイトバザールでそれを見ることが出来る。昔、それを
見るためにこの地に足を運んだことがある。タイ語はできないので英語だけ
で苦労してそこに着いた時はもう店は閉まっていた。
すぐ近くにいたのに、見つけることができなかったのだ。
悔しかったがどうしようもない。今回はどうしても見てみたかった。
ヌチャナートは俺がどうしてそんな場所に出かけようとしているのか理解でき
ない。説明しているのだが、何を言っているのか想像できないらしい。
出足の遅いヌチャナートをせかせて家を出る。バスターミナルまで行く途中で
「あの店のノムチンは美味しいのよ。食べてからバスターミナルに行きま
しょうよ」なんて言いだす。
地方都市と地方都市を結ぶバスの本数は少ないと想定している俺はバス
ターミナルに直行することを主張した。思った通りバスの本数はすくない。
幸いにもちょっと待つだけでバスがでる。
バスは一般道にある小さな町を幾つも通り抜けながら進む。そこで客を降ろ
したり乗せたりするのでなかなか目的地に到着しない。
ピサヌロークにバスが到着すると客引きが大勢取り囲む。ひつこい女が
いつまでも付きまとう。案内所で町の地図を貰い、空飛ぶ野菜について質問
した。英語を少し理解する女が質問に答えてくれた。
「アハハハ・・・!分かりました。空飛ぶ野菜ですね。ナイトバザールに行か
なくても本店に行けば遅くまでやっていますよ。本店はどこそこにあります。」
タイ語の通りの名前を言われても聞き取れない。
ホテルはバスターミナルから歩ける距離にあると言う。
期待して待っていた客引きには可哀相だが歩いて行くことにした。

歩き出すとホテルは町外れの方角にあることが分かった。だんだん暗くなる。
ヌチャナートは怖がって歩みが遅くなる。
このような暗い道で金持ちの外国人を襲う連中が多い。ヌチャナートの家の
近くでも外国人の女が最近、殺され金品を奪われた。
ホテルは近くにあるとは言ったが道が暗いとは言わなかった。こんな暗い道
ならトクトクで移動すべきだったと思っている時、二台のサムローがやってくる
のが見えた。暗い中でサムローを止めて驚いた。普通のサムローの運転手
はおじさんか年寄りが多いがこの運転手はまだ20代の若い女の子だ。
こっちも驚いたが、向こうも外国人に驚いたようだ。

ホテルにチェックインしながら、「空飛ぶ野菜」について聞き出した。
「本店なら遅くまでやっているので、お風呂にはいってからでも間に合います
よ」
R0017669pct20_2


店は繁盛していた。外国人観光客も多い。タイ王女がこの店にやって来た
写真が飾ってある。それを見たヌチャナートは
「この店は高級なお店よ。王女様がいらしたのだから」
と感激している。「空飛ぶ野菜」を英語でFlying Vegetableと言っていた。
野菜炒めが空を飛ぶのだ。
R0017673pct20_2


熱した油に濡れた野菜をわざと入れるのだろう。
真っ赤な炎が大きく立ち上がる。これも大きな見せ場なのだ。
最大の見せ場はコックが野菜を炒めたフライパンを持って歩道に出てくる。




R0017670pct20_2

歩道から1.5メートルほど車道にはみ出した所に小型トラックを止めている。
トラックを台にして二メートル強の所に台座がある。
更に一メートルほどの高さの柵にウエイターがプラスチックの皿を持って待
ち構える。コックはウエイターを見ずに頭越しに炒めた野菜を放り投げる。
R0017667pct20_3


油でつるつるする炒めた野菜をウエイターはプラスチックの皿で見ごとに
捕らえる。客から歓声があがる。




希望すれば客も台座に上がって飛んでくる野菜を捕まえることができる。
客はプラスチックの皿ではなく野菜が滑り出ないように周囲に縁がある大き
な蓋を使う。王女も野菜つかみに挑戦した。その時の写真が飾ってある。
R0017671pct20_2

10数名の白人の観光客の一団がサムローに乗って到着した。
観光客だから店ではしゃぎ回る。大声で歌いだす。
彼等も野菜つかみに挑戦した。カメラやビデオで仲間を写している。
サムローの運転手は景気つけに歌を歌い、シンバルやポリタンクを叩いて
いる。上手く野菜をつかむとますます元気に歌い出す。
景気付けにシンバルを叩いている眼鏡をかけた男の顔に驚いた。
服装はサムローのようにみすぼらしいが、顔つきは完全にインテリなのだ。
R0017672pct20_2


貧しいサムローの生活を助けるために、このようなサムローによる観光行列
を考え出した人ではないかと思う。彼のサムローには賑やかなLEDの明か
りがついていた。



観光客は野菜つかみに挑戦した後、テーブルに戻って野菜を食べるのかと
思っていた。彼等は野菜つかみに挑戦したら、味見をすることもなく、また
サムローの行列を作って去って行った。
食べ物を玩具にして遊んでいるのだ。それがちょっと悲しかった。
ほんの少しでもいいから食べて欲しかった。

「サミイ、今日はありがとう。楽しいお店ね。王女様もいらっしゃる店で食事
ができるなんて素晴らしいわ」ヌチャナートはにっこり笑った。
急に思いついて来た場所だ。ホテルも予約なし。バスの時刻表もない。
行き当たりばったりの旅だったが、ヌチャナートが喜んでくれたのでよかった。

2006・8・10

|

« 卵売り | トップページ | 蛇を食べるの? »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/68615/3172180

この記事へのトラックバック一覧です: 空飛ぶ野菜:

« 卵売り | トップページ | 蛇を食べるの? »