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2007年2月20日 (火)

グルメ番組

ヌチャナートはグルメ番組を良く見ている。
食と料理に興味があるから、それにグルメ番組なら日本語がわから
なくともおおよそのことは理解できるのでグルメ番組を見ているの
だろう。ヌチャナートに付き合ってグルメ番組を見ていて気になる
ことがある。どのくらいの時間をかけてビデオ撮りをしているのか
知らないが、よくまあ、あれだけ大量の料理を出演者は食べること
ができるものだと感心する。しかもどの料理も旨そうに食べるのだ。
それは演技だと思えば納得が行く。
どんなに旨いものでも、次々と出されると旨いと思わなくなるものだ。
今日のビデオ撮りで10個の弁当を食べなくてはいけないとしよう。
最初の1個、2個は旨そうに食べることができる。
5番目ほどになったなら、見たくもない気分になるはずだ。
それでも美味しそうに食べなくてはいけない。
演技とはいえ つらいものがある。
その辺は俺も納得できるし、同情できるからまあよしとしよう。

気になるのはグルメ番組では味や香りに対する表現にやたらと
カタカナ英単語が入っていることだ。
マイルド、ジューシー、フルーティなどと表現している。
これ以外の単語は聞いたことがない。
たった三つの単語だけで「美味しさ」を表現できるのだろうか?
日本語よりカタカナ英語で香味を表現するほうが格好いいと思って
いるのかな?味を表現するのに、なぜ英語を使うのだ?
フランス語やドイツ語ではいけないのか?
美味しかったならタイ語でアロイと言ってはいけないのか?
英語圏の人々がフルーティと言う時に感じる感覚を日本人が感じ
られるのか?香味をあらわす日本語は沢山ある。
「まろやか」「おだやか」「ふくいく」など英語にはできない日本人の
感覚がある。マイルド、ジューシー、フルーティなどというのは単に
「おいしい」「うまい」「いいかおり」と言った一般的な表現だ。
英語の中にも もっと繊細な味や香りを表現する単語があるはず
だ。英語で味や香りを表現したいのなら、それなりの単語を使って
もらいたいものだと俺は思ってしまう。

考えてみれば、グルメ番組というのはあくまでも娯楽番組なんだ。
香味を正確に表現していたら専門過ぎて料理研究番組になってしま
い娯楽番組から逸脱するから、駄目なんだろうな。
番組制作者はグルメ番組の影響力は大きいことを考えて、番組の
中で香味を表現する時はカタカナ英語ではなくて日本語で表現して
もらいたいと俺は思う。

言葉は自分が感じるものを伝える道具だ。
カタカナ英語を使うグルメ番組の影響で、日本人が感じるマイルド
な感覚と英語圏の人々が感じるマイルドな感覚が異なってくるの
ではないかと危惧している。マイルドというのは英単語だから、
ある食品から感じる感覚を日本人がマイルドと言えば英語圏の人々
も同じようにマイルドと感じてくれると誤解するようになる。
日本人がいくらマイルドと言い張っても英語圏の人々は
「これはマイルドな味ではない」と食い違いがでるようになる。

ちょっとわかりにくいから、自分の体験を話そう。
スパイシーという英単語がある。「香辛料の香りが効いた」
「香辛料の香り高い」というような意味の言葉だ。
俺が知っているスパイシーな食品は胡椒、クミン、フェンネル、
コリアンダーの実・・・・と言った香りが強い西洋の食品だった。
俺にとって、スパイシーとは西洋料理に使う香辛料の香りが豊か
なことだった。

タイの田舎で川岸にある一軒のレストランに入った。
こんな田舎にくると周囲に英語の看板はない。タイ文字しか目に
入らない。日本や欧米の観光客もいないからタイ語しか通じない。
そんな店に一人で入った。幸いなことにウエイトレスが英語を話した。
言葉が通じるので安心した。
「お料理はスパイシーにしますか?」
俺はスパイシーと聞いて、西洋料理にある香辛料の香りを想像した。
「はい、スパイシーにしてください」
何を食ったのか覚えていないが、やたらと辛かった。
冷たいビールで口の中を洗い流しながら食べた。
残しては失礼と思い、我慢して食ったが、一皿を食うことができな
かった。「スパイシー」と言ったのは大失敗だった。
その時、俺は理解した。
同じ英語で話をしていながら、俺が持っているスパイシーな感覚と
タイ人が持っているスパイシーな感覚は違うのだ。
西洋料理の強い香りを俺はスパイシーと思っているのに対して、
タイ人は唐辛子の香りが強いものをスパイシーと言っているのだ。
英語圏の人々ならこの感覚をホットと表現する。
それ以来、タイではスパイシーと言って料理を注文するのをやめた。

影響力の大きいグルメ番組では香味をカタカナ英語で表現して
もらいたくないという俺の気持ちを、これでお分かりいただけるかな?

2007/2/20

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