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2007年9月21日 (金)

魚介類の醗酵製品

タイには魚介類の醗酵製品が沢山ある。冷蔵庫や冷凍庫がない時代に熱帯で魚介類を保存するには塩漬けにして醗酵させる方法が考えられた。
その伝統的保存法が今でも綿々と伝えられ、魚介類の醗酵製品が数多く作られている。
どの製品も旨味が強いが臭みも強い。日本のくさやを思えばいい。くさやは臭いけど旨い。
臭い食品はひとたび好きになると、病み付きになるほど好きになるものだ。
「臭い、臭い!」と嫌われながらもくさやの愛好者が多いのが好例だろう。
話はちょっと横道に入る。俺がくさやを焼いていたらヌチャナートが驚いた。
「なによ、この臭い!」ヌチャナートは半分怒っている。
「食べてごらん」
焼きあがったくさやをヌチャナートに食べさせた。一口くさやを食べてヌチャナートが言った。
「あら、美味しいわね」それ以来、くさやはヌチャナートの好物になった。

日本でも魚介類の醗酵製品は沢山あったし、家庭で作っていた。
スーパーが発達し出来上がった食品を買う習慣が定着したため、魚介類の醗酵製品を作る家庭がなくなった。

タイの市場に行くといろいろな醗酵製品がある。その全てを食べてみたいが、数が多すぎてなかなか食いきれない。
ある時、糠みそのようなものに、大きな魚の切り身を漬けているのを見つけた。その切り身を求めた。
糠みそのようなものをかき混ぜて、切り身を取り出そうとした。
その糠みそのようなものから白い蛆虫がうじゃうじゃと出てきた。
「うわぁー!」俺は驚いて叫び声をあげた。売り子の母娘は「マイペンライ(なんでもない)」と言ってまるで気にしない。
その蛆虫が蝿の幼虫なのか、どんな昆虫の幼虫なのかわからない。
「マイペンライ」と言うのだから、毒にはならないはずだ。
この状態のものを食べ続けても平気だという実績があるから言い切れる言葉だ。
蛆虫は醗酵を助けているのかもしれない。蛆虫がいないと異常な醗酵が起こり食中毒を起こすことも考えられる。
魚を醗酵させる菌と蛆虫が共棲していると考えることもできる。
日本人から見ると気持ちが悪い食べ物だ。普通の人は蛆虫を見ただけで買うのを止めてしまう。
俺はその切り身を買って帰った。
ヌチャナートはそんな切り身を知らなかったらしい。
「サミイ、これを何処で買ってきたの?」
「市場で買ったんだよ」
ヌチャナートが切り身を焼いた。ちょっと食べて「あら、美味しいわよ。サミイも食べなさいよ」と言う。
俺はあの蛆虫を思い出し、食べるのを一瞬、躊躇した。
グルメと称するならどんな物でも試食できなくてはいけない。
テレビや雑誌で紹介するものだけを食ってグルメなんて言ってはいけない。
旨い物を発見するには勇気も必要なのだ。
俺はグルメではないが好奇心は強い。ヌチャナートが旨いと言うのだから間違いなく旨いはずだ。
蛆虫は見なかったことにして、食って見ると、確かに旨い。
塩味もちょうど良いし、糠漬け?されている間に蛆虫のおかげで?いい味が出来上がっていた。
「うん、確かにこれは旨い味だ。」

この切り身を求めてタイへ行くたびに市場を歩く。
しかし、この切り身を売っていた母娘に会うことがない。

2007/9/21

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