ゲンパク 野菜のシチュウ
俺は特にこれが食いたい、アレが食いたいというものがない。
ヌチャナートも同じだ。
「ねえ、サミイ、何を食べたいの?」
「なんでもいいよ」
自分が食べたいものがあれば、ヌチャナートは自分で何か提案する。
「今日はこれを作るわ。美味しいわよ、食べるでしょ?」
なんて言うのだが、今日はそんなことを言わない。
「あたしも何でもいいのよ。ゲンパクでいい?」
ゲンパクというのは野菜のシチュウとでも言えばいいだろう。
どんな物が出てくるかわからないけど、「それでいいよ」と言った。
ヌチャナートが料理を作り始めた。
ナスを入れるかどうか聞いている。
これにたいして俺はいい加減な返事をしておいた。
入れろと言ったのか入れるなと言ったのかすら覚えていない。
「ねえ、味見してよ、美味しいわよ」
何だか魚くさいがいい味がでている。
魚が好きな人にとってはこれはいい香りなんだろう。
少なくとも気にならない香りであるはずだ。
「駄目なの?」
「いい味がでているよ」
香りのことを横に置いて味の良さだけを褒めた。
煮魚の臭いを気にしなければ、これは美味しい料理だ。
野菜とスープだけを取って食べていた。
野菜の陰に白身の魚が隠れていた。
魚の肉を食べると、これもいい味だ。
スープの中にある、魚の生臭い香りは俺の好みに合わない。
2007/9/5
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