« 伝統料理について | トップページ | 小鯵の丸干し »

2008年4月26日 (土)

ホイアップン(リンゴ貝)・ホヤ

東北地方の人々はよくホヤを食べるが関東地方になると食べる
人は少ない。独特の臭みと苦味があるので、関東地方では嫌わ
れている。このように癖のある食べ物は好きな人にはたまらない
ほど旨い食べ物なんだ。おれ自身はホヤを余り好まないが、
これが好きだという人の気持ちはよく分かる。

ホヤを見かけてヌチャナートは「あの貝を買いましょうよ」と言う。
ウチの公用語はタイ語だ。
俺のいい加減なタイ語では突然「貝」と言われてもなんのことやら
わからない。俺の頭では「貝には硬い蓋があるもの」と固定概念
ができている。ホヤを貝と言われて戸惑った。

貝でなかったなら、ホヤは魚か?
魚ではないな。どちらかと言うと貝に近いのかな?
タイ人はホヤのことを貝と呼ぶと覚えておこう。

昔、ヌチャナートにホヤを食べさせたことがある。
「なあーに、これ?美味しくないわ」と言っていた。
それなのに、ホヤを買おうという。
「昔、食べて美味しくないといったじゃないか。」
「美味しいわよ」

先日の宴会でタイ人がホヤを持ってきたらしい。
その時、ホヤを食べて美味しかったというのだ。
ホヤの生態は知らない。多分ホヤは冷たい海にいるのだろう。
だから、東北地方の人が好んで食べるのだ。
関東の海にもホヤが沢山いるのなら、関東でもホヤを食べるだ
ろう。タイの海にはホヤはいないと思う。

美味しいホヤの食べ方をタイ人から伝授してもらったらしい。
「酢・塩・砂糖と”なんとか”をいれるのよ。醤油もちょっといれる
のよ」
その”なんとか”が何なのか良くわからない。
日本語を聞いたのだろうが、ヌチャナートはその言葉を忘れて
いる。ヌチャナートは一生懸命”なんとか”について説明する。
俺にはナンなのかさっぱりわからない。
うろ覚えの日本語の単語を言う。
「これに近い名前よ」
そんな名前の食材は日本にはない。
料理の色・味などを聞きながら謎の食材を推定した。
多分、みりんのことだろう。

ヌチャナートは調味料を作り始めた。
みりんを味見して、調味料に加えた。
次に、ホヤの殻を剥き黄色い身をよく水洗いした。
それを一口大に切って調味料に加えた。
「明日になったら食べられるわ」
「ヌー、これをタイ語でなんて言うんだい?」
タイにはないホヤをタイ人がなんて呼ぶのか興味があった。
「ホイアップンよ」
「えっ?!なんだって?」
俺は驚くと同時に笑い出してしまった。
「ホイ」は貝で「アップン」はリンゴの意味だ。
直訳するとリンゴ貝だ。
面白い名前をつけたものだ。言われてホヤの姿を思い浮かべ
た。リンゴと言えばリンゴに見えないこともない。
海鼠のことを英語で「海の胡瓜」というのに発想が似ている。

翌朝だった。
「サミイ!貝が冷蔵庫にあるわよ。味見してよ」
「貝が?」俺はホヤのことをすっかり忘れている。ましてホヤの
ことを貝と言うなんて忘れている。
「昨日買った貝よ」やっとホヤを思い出した。
味付けされたホヤを食べた。独特の香りがある。ちょっと苦い。
酒の肴になるな。好きな人は好きだろうな、この味は。
「どう、美味しい?」
「うーん?食べられるよ」
「酸っぱい?」
「ちょっとね。」
「もう一日待った方がよさそうね」
俺をリトマス試験紙のように、味見試験に使ったのだ。
それを確認するとヌチャナートは猫を抱きながらごろりと横に
なった。

TREview
■トラックバックURL
http://tb.treview.jp/TV/tb.cgi/23001002/0/945/a4KPdnAJ/1215508296

素晴らしい すごい とても良い 良い

|

« 伝統料理について | トップページ | 小鯵の丸干し »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/68615/20585690

この記事へのトラックバック一覧です: ホイアップン(リンゴ貝)・ホヤ:

« 伝統料理について | トップページ | 小鯵の丸干し »