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2008年4月22日 (火)

イラン人とタイ米

日本の米はジャポニカ種で小粒で短い。
それに対してタイの米はインディカ種なので細長い。
日本の米は粘り気があり、甘味が強い。
タイ米はさらさらしており、甘味も弱い。
タイ米で寿司を握ろうとしても粘り気がないから握れない。
そんなわけで日本人にはタイ米は不味い米ということになっている。

タイ人の米の食べ方はお采をご飯の上に乗せて、飯とお采を一緒に食べる。
あるいはお采をご飯の上にぶっかけて、かき回してから食べる。
飯粒の味を味わいながら食べる日本の食べ方とは違う。
ぶっかけ飯だと米の味をじっくり味わえないし、味わう必要がない。
お菜の旨さ、辛さ、塩分で飯を食べる感じだ。

終戦直後の日本は食糧難だった。タイから米を輸入した。
外国の米だから、これを外米と言っていた。
日本で取れる米は内地米と言っていた。
内地米なんて言葉はもう死語だ。
その証拠に「ないちまい」を漢字変換すると「泣いちまい」なんて
でてくる。この外米が臭かった。ひどい臭いだった。
食い物がなく腹をすかせているのに、「ひどい臭い」「まずい米」
と感じたのだから、相当にひどい米だったと思う。
その当時の新聞が臭いの原因について書いていたのを覚えて
いる。「外米はゴム袋にいれて輸入されるので、ゴムの臭いが
移行した」と説明していた。
その時は「そうなのか?」と納得していた。

タイ人にとってタイの米は美味しい米だ。
炊き上げるとジャスミンの花の香りがするという高級米がある。
日本で言えばコシヒカリといったところだ。
そんな高級米を英語ではジャスミンライスと呼んでいる。
米を常食にする国民は米の味に五月蝿い。
タイ人も米の品質を何等級かに分類している。

タイの東北地方では米は餅米を常食にしている。
俺がタイへ行くと「日本人は餅米を食べないから」と言って普通
の米を炊いてくれる。蝿を追い払いながら飯を食う。
タイ政府の力で蚊の撲滅は進んだが、タイの田舎では蝿はまだ
まだ沢山いる。食事を始めると蝿がどこかから集まってくる。
タイの田舎ではこれは当たり前だ。
タイ人の習慣に従い、ぶっかけ飯で食事をする。
ある時、ふと外米のことを思い出した。
飯だけを味わってみることにした。そうすると、あのいやな外米
の臭いがした。外米の臭いはゴム袋の臭いが移行したのでは
なくて、この米特有な臭いなのだと理解した。

10数年前、日本は冷夏に襲われた。米は大不作だった。
タイから米を輸入したが、タイ米は不味いと言って誰も買わない。
困ったスーパーは日本米と抱き合わせでタイ米を売っていた。
そのうちにタイ米が馬鹿安の値段で売られた。
俺は安いタイ米を喜んで買って食べていた。
日本人にとってタイ米は不味い米なんだ。

イラン人と話をする機会があった。イラン人も米を良く食べる。
彼はイランの米は美味しいという。
そういう話を聞くとなんとなく嬉しくなる。彼は話を続けた。
イランの米はインディカ種なので細長い。
ある時、イランは米飢饉になった。
そこでイラン政府はタイから米を緊急輸入した。
タイの米もイランの米も同じインディカ種だ。
同じ種類の米なのにタイから輸入した米は不味いとイラン人
にも不評だったという話だ。
「うわぁー、日本人と同じ感じ方だ。」
俺はイラン人の話を聞いて思わずニヤリと笑ってしまった。

タイ人にとってタイ米は美味しい米なのに、日本人にもイラン人
にもタイ米は不味い米だ。
これで分かることは何処の国の人にとっても自分の国で取れる
米が一番美味しい米なのだ。

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2008/4/21

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