« 親子丼と義理の息子 | トップページ | 蕪のトムチュート »

2008年10月31日 (金)

タイの庶民とマヨネーズ

昔でもちゃんとした洋食屋が日本にあった。また一流のシェフがいて
一流の西洋料理を作っていた。
それらを知り、食べていたのは特定の社会階層の人々だけだった。
庶民の洋食は極端な話、豚かつとカレーだけだった。
豚かつにはトンカツソースという日本独特のソースをかける。
洋食はトンカツソースをかけて食べる物だと言う固定観念が庶民
に出来上がっていた。その当時の庶民はベシャメルソースや
フレンチドレッシングなんて知るはずがない。
そんな日本人は、見慣れぬ洋食を出されるとトンカツソースを要求
した。トンカツソースがないと洋食を食べられない日本人がいた。
これは笑い話ではない実際にあった話だ。

今から400年ほど前にポルトガル人が当時のタイの都アユタヤに
来て西洋料理を伝えた。そのうちの何点かは昔のままのスタイル
で現在まで受け継がれているが、多くは失われた。
近年になって西洋料理がタイに入り始めた。
バンコックにはちゃんとした西洋料理を食べさせる店はある。
そんな店に入れるのは外国人と裕福なタイ人だけだ。
西洋料理が徐々にタイの庶民にも伝わっていったが、高価な油や
肉を使う料理はタイの庶民には伝わらなかった。
庶民が簡単に手に入る材料で出来る西洋料理はサラダだけだ。
彼等は昔から生野菜を食べる習慣はあるが、必ず何かの料理と
一緒に食べる。生野菜だけを食べることはない。
生野菜を西洋風に食べるためにマヨネーズを使った。
日本人の西洋料理=トンカツソースという構図と同じようにタイ人
には西洋料理=マヨネーズという構図が出来上がって
いる。
ヌチャナートも西洋料理にはマヨネーズがつきものだと信じている。

そんな歴史的背景を頭に入れて話を進めよう。
先日、豚ロース肉の厚切りを買った。なんとなくポークソテーが食い
たかったからだ。それを見て、ヌチャナートが豚かつを作ると言い
出した。
「豚かつでもいいな」別に反対はしなかった。豚かつは西洋にその
起源を持つが、今では日本の風土にすっかり溶け込み
完全に和食
化している。俺にとって豚かつは和食なんだ。昔の日本人が豚かつ
は西洋料理だと思っていたように、ヌチャナートも豚かつは西洋料理
だと思っている。豚かつを食卓に並べて言った。
「マヨネーズいるでしょ?」
俺はタイ人の西洋料理=マヨネーズという構図を思い出して笑った。

2008/10/28


TREview

|

« 親子丼と義理の息子 | トップページ | 蕪のトムチュート »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/68615/24892892

この記事へのトラックバック一覧です: タイの庶民とマヨネーズ:

« 親子丼と義理の息子 | トップページ | 蕪のトムチュート »