爪楊枝に注目
小さな爪楊枝にもお国柄がある。
何の変哲もないような爪楊枝だが、左の三本が日本の爪楊枝で、
右の三本がタイの爪楊枝だ。
俺がなぜ爪楊枝のような詰まらない物をタイから持ってきたのかと
言うと、日本の爪楊枝よりもタイの物は丈夫で使い易いからだ。
タイの物は竹でできている。一本で事が足りる。
日本の物は二、三回使うと楊枝の先が潰れてもう一本の新しい
楊枝を取らなくてはいけない。
よくサラリーマンが昼食をラーメン屋などで食べて、爪楊枝を二本
ばかりワイシャツのポケットに入れて持ち帰る。
同じ事をタイの爪楊枝でやると危険だ。竹でできているから先が
鋭い。竹槍にするほどだということを忘れてはいけない。
怪我をしなくてもワイシャツに穴が開くだろう。
俺は爪楊枝の材質の固さに注目していた。
ところがある日本人は爪楊枝の形態に注目していた。
「タイの楊枝は両端が尖っている」と言って驚いていた。
確かに、タイの楊枝は両端が尖っている。こうすれば一本で事が足り
るので合理的だ。
どうして日本の楊枝は片側しか尖っていないのだろうか?
両端を尖らす代わりに日本の爪楊枝には飾りの切込みが入っている。
爪楊枝にも日本人は装飾性を求めている。
一本の爪楊枝を見て、俺は固さに目をむけた。
別の人は形態の差に目を向けた。
固さにも形態にも目を向けず、使い終わってポイと捨てる人もいる。
同じ物を見ても、人によって目の付け所が違うのを知り、俺は
にんまりした。
これだから、人間って面白い。
2009/5/16
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