馬肉大和煮缶詰とタイ人
何処で何時こんな缶詰を手に入れたのか忘れた。
買った目的は覚えている。馬肉なんて食わないタイ人にこれを食わせて、
食った後にあれは馬肉だと教えてどんな反応をするか見たかった。
意地悪な実験のために馬肉大和煮缶詰を買った。
食卓に馬肉の缶詰をだしておいた。
「あたし、これ食べるわ」しめしめ。作戦が成功したので内心ほくそ笑んだ。
牛肉や鯨の大和煮の缶詰は以前にも食べている。缶をあけただけでどんな
味付けなのか想像できたようだ。
「これって甘いんでしょ?」
「うん、そうだね」
レモンを取り出してレモン汁をかけている。なるほど、これは美味そうだな。
赤い小さなプリッキヌーという辛い唐辛子も入れた。やっぱり唐辛子がない
とダメなんだな。ベランダの薄荷を取ってきて加えた。なるほど彩りも香り
もよさそうだ。
「これなんの肉なの?」どきっ!馬肉だなんて言ったなら絶対に手をつけ
ない。聞こえない、分からない振りをして黙っていた。
ヌチャナートは肉を摘んだ。そして食べた。
「あら、美味しいわよ。食べて御覧なさいよ!」
「うん、なるほど美味しいね」少しだけ食べた。
実際、美味い。日本人は大和煮をこのように調理しない。
たいてい、缶を開けてそのまま食うだけだ。
タイ人は大和煮をこのように食うのだ。この食い方は日本人より優れて
いる。
「この味はタイ人に受けるかな?」
「そうね、大丈夫だと思うわ」
ヌチャナートは馬肉の缶詰を食べてしまった。
あとで「あの肉は馬だよ」と教える。
その時の反応が楽しみだ。イヒヒヒヒ・・・・・。
2010/4/15
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