国際交流食
菜の花を茹でていた。その隣に味噌、砂糖などを入れた器があった。
俺は菜の花でタイ料理を作るのだと思っているから、味噌を何に使うのか
見当がつかなかった。更に味噌に練りわさびを加えている。
茹で上げた菜の花と味噌を俺の前に持ってきた。
「これを混ぜてちょうだい」
俺はまだ熱い菜の花と味噌を混ぜた。
わさびが菜の花に温められ、刺激的なにおいがでる。
くしゃみをしそうになる。
「味をみてよ。どう?」
とくに美味いという味ではないが、不味くもない。
「食えるよ」
ヌチャナートが味見をして、「これは美味しい」と感激したように言う。
どうやら日本人とタイ人の感性の違い、あるいは個人的な感性の違いと
思われる。
「この味って、タイ人好みかな?」
「そうね、タイ人は好きだと思うわ」
こんな味はタイにはない。初めて接する味だが、ヌチャナートによるとタイ人
はこの味を受け入れるようだ。
その昔、国際交流会に出席したことがある。
そこで日本の女子大生がタイの焼そばというのを売っていた。
食うとタイの味より、日本の味に近かった。
「これ、日本の焼そばの味だね」
「ええ、日本風にアレンジしました。」
ある国の味が別の国に入ると、そこで味が進化、変化する。
いわば味の国際交流だ。
今日の菜の花の味噌和えは国際交流食だな。
2010/4/6
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