苦瓜と唐辛子
ベランダには苦瓜と唐辛子もある。俺たちは苦瓜や唐辛子の実を採るため
に栽培する。俺は花が咲くと実が成るのを楽しみにする。
ああ、それなのに・・・・・ヌチャナートは葉をとって食べてしまう。
苦瓜や唐辛子の実はスーパーで買えるが、それらの葉を売っている店は
ない。食いたければ自家栽培するしかない。
「これ、ウチで採れたのよ。こんなにあるわ!」
摘んできた葉を見せる。嬉しそうな顔を見ると何も言えなくなる。
苦瓜なんて好きなように成長させたらどんどん高い所に上っていく。
そんなこと、ベランダでやるわけにいかない。
網をはって、右から左、左から右に蔓を伸ばす方式をとっている。
「馬鹿なことやっている」とヌチャナートは冷ややかに見ている。
”あたしが葉を食べるから、そんなことしなくても大丈夫よ”なんて思っている
のだろう。
葉を食べられた唐辛子でも白い花をつける。運のいい花は青い実をつけて
やがて赤くなる。赤く熟するのを待たず、青い実を食べちゃうこともある。
「新鮮だから、香りがいいわ」
運の良い苦瓜は胡瓜ほどの大きさに育つこともある。多くの場合、ピンポン
玉を細長くしたほどの大きさになると食べてしまう。
育とうとすると葉を食べられてしまう。それでも新しい葉や蔓を出し、必死
に伸び続ける。ヌチャナートは食べる人で、俺は蔓が上に伸びていかない
ように管理する人だ。
2010/6/27
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