« タノンチラ駅 | トップページ | ドリアンの香り漂う »

2010年6月 7日 (月)

スラナリの戦い

トラックの荷台に乗って旅をしていた。退役軍人が同乗しており、指をさして
「この先で、戦闘があったのだよ」と教えてくれた。
退役軍人が言うことだから、彼が軍籍にあった時の出来事だと思っていた。
その当時はベトナム戦争の時代で、タイは米軍に協力していた。
また共産勢力が活動し、国境付近でラオス、カンボジアとの戦闘、小競り合
いがあった。地勢からラオスが侵攻してきたのだと思って聞いた。
「ええ、タイとラオスの戦いです。」
しかし待てよ、一番近いラオス国境とここまで直線で300キロはある。
何の抵抗も受けずにラオス兵がタイ内部に300キロも侵攻するのは容易な
ことではない。ラオスがタイに侵攻したか、ラオスが後押ししたタイの共産
勢力とタイ政府軍の戦いだと思っていた。詳しい戦闘の話を聞きたかった
が、トラックの上では風で声が飛んでしまい、会話ができない。

P1150075pct13

退役軍人が言った辺りの地図を見ると名所、観光地がある。
其処はトゥングサムリットと言う聞いたことのある地名だ。1826年、コラートの
町をラオス軍が攻めて陥落させた。
コラートにはスラナリという女傑がいて、タイの女や老人で反ラオス勢力を
組織した。ラオス兵に酒を飲ませ、女の色香で酔わせた隙にラオス兵をやっ
つけたという有名な話が起こった場所だということを思い出した。
その話を読んだ時、その場所を地図で探したが、索引もない地図でそんな
小さな村を探すのは無理だ。コラートの町から100キロ以上離れた場所だ
と思っていたのに、50キロほどの所にある。

トゥングサムリットのスラナリ記念公園とでもいう場所には女や老人が勇まし
くラオス兵と戦う銅像が建っている。これと似た銅像はコラートの町にもある。
この村の女の銅像には、村の人が綺麗な色の布でブラジャーをかけてくれ
た。スラナリは金色のブラジャーだ。今で言えば市長の女房だから金持ち
なんだろうな。ギラギラ照りつける太陽の下の銅像に布をかけることで女の
姿が実にセクシーに見えるのに驚いた。
ラオス兵はここで壊滅的打撃を受けて、敗走したことになっている。

P1150077pct13

小さな写真なので見えないかもしれないが、刀と刀の間に白い糸がある。
タイの仏教では聖域を表すのに白い糸を用いる。
この銅像にある白い糸も聖域を表しているのだろうか?
広場一面に白い糸が張り巡らされているので、鳥除けかもしれない。
そう言えば、ここでは鳥を見なかった。

トゥングサムリットのこの公園は、80ライ(32,000平米)もある広さだ。
コンクリートで舗装された部分だけでも20ライ(8000平米)ある。
今は何もない村だが、この公園が観光客を引き付ければ村の発展に役立
つ。

この女傑の話を調べて行くと色々な疑問が生じてくる。
コラートの人々はこの話を真実と信じている。
スラナリの像を建立し、スラナリを神として崇めている。この像の傍を通る人
は像に両手を合わせる。バスの座席が像にたいして後ろ向きであっても、
振り返って両手を合わせる。
願い事をスラナリに祈願すると、成就すると信じている。
実際に願い事が成就して、お礼参りに来る人々も多いから、うっかりスラナリ
神話に対する疑問を口にできない。話の真偽は別として、今ではスラナリ像
はコラートの立派な観光資源になっている。

2010/5/6

|

« タノンチラ駅 | トップページ | ドリアンの香り漂う »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/68615/35112144

この記事へのトラックバック一覧です: スラナリの戦い:

« タノンチラ駅 | トップページ | ドリアンの香り漂う »