カラオケを食べる
「ねぇー、カラオケを食べなさいよ」
「えっ?・・・・?」
「カラオケよ。昨日の晩、明日食べるって、言ったでしょ?」
「・・・・・?」
そんなこと言った覚えはない。カラオケってなんだ?
「冷蔵庫に入っているわよ」
カラオケが冷蔵庫に入っている?冷蔵庫を開けるとコロッケがあった。
「これかい?」
「そうよ」
ヌチャナートはコロッケのことをカラオケと覚えたようだ。
「これはコロッケだよ」
「あらそうなの。あたしカラオケだと思ったわ」
これを笑ってはいけない。俺のタイ語も似たようなものだ。本当のタイ語は
「コロッケ」と呼ぶべきものを「カラオケ」と呼んでいるだろう。
ヌチャナートには通じるが、他の人には通じないタイ語なんだ。
「コロッケ」と言う単語をヌチャナートが覚えるまで、ウチでは「コロッケ」と
「カラオケ」は同じ物になる。
カタカナで書くと、コロッケとカラオケはまるで違うが、音は似ている。
人間の頭は「コロッケ」と聞くと、その音に一番近い自分が知っている単
語に置き換える。ヌチャナートの頭では「コロッケ」の音に一番近い単語
は「カラオケ」だった。それでコロッケがカラオケに変化した。
2010/6/3
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