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2010年11月24日 (水)

タイのスパゲッティ文化

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マルコポーロによってイタリアに持ち帰られた中国の麺が、彼の地
でスパゲッティになったと言われる。そ
の真偽は別としても話として
は面白い。食が移動すると、新しい土地で独特な発展をする。
スパゲッティだって日本で鱈子スパゲッティなんて
イタリアにないも
のが発展し定着している。
スパゲッティもタイで独特な味の進化を遂げている。
俺が知っているタイの田舎の店では俺が世界一不味いと評する
スパゲッティを売っている。その味がタイ人に受けており売れてい
るのだ。こんなもん、直ぐに売れなくなると思ったが、未だに売れ
続けている。それを美味しそうに食べるタイ人を見ているから不
思議だ。

不味いスパゲッティと言われてもどんな味かわからないでしょう。
東北部のタイを旅行した人は名物の甘ったるいヤキソバを食べ
たことがあると思う。ヤキソバはナンプラを使っている。
ナンプラの代わりにケチャップを使い、砂糖をごそっと入れる。
そして日本で言うナポリタン風にスパゲッティと砂糖入りのケチャ
ップを炒める。どんな味か想像できるかな?

今日はおかしなことをヌチャナートが言い出した。
「スパゲッティを茹でてよ。あたしがスパゲッティを作ってあげる
わ」どんな味になるか想像した。
あのような甘い味になるのではないかとまず考えた。
でも日本でスパゲッティの味を覚えたから、日本の味になっている
かな?

人参を細かく刻んでいる。それとニンニク、玉ネギ、生椎茸などを
用意している。これをどんな風に調理するつもりなのかわからな
い。ニンニクを炒めるにおいがしている。
玉ネギなどを加えて炒める。それを見て俺はタイのスパゲッティを
思い出してニヤニヤ笑っている。
「なにを笑っているのよ!」ヌチャナートは俺の心中を察している。
「愛しているからだよ」
嘘とは分かっているが、甘い言葉にヌチャナートが笑う。
缶詰のトマトを加える。出来上がったスパゲッティソースを味見して
「うん、美味しい」と自画自賛している。
「味見して御覧なさいよ。美味しいわよ」
確かにいい味に仕上がっている。俺が想像していた甘いタイの
スパゲッティソースの味ではない。
「スパイスを入れてよ。あたしどんなスパイスを使ったらいいのか
わからないのよ」
田舎娘として育ったタイ人で本場のスパゲッティの味を知っている
者なんていない。スパイスを使いこなせなくても当然だ。
俺はタイ人が作った味をそのまま味わいたかったのでスパイスを
加えなかった。この後、どうするのか見守っていた。

ニンニクをフライパンで炒めている。
「早くスパゲッティを持ってきてよ!」
急いでスパゲッティをヌチャナートに渡す。
「ああ、遅かったわ。苦くなっちゃったわ」
ニンニクが一部黒くこげている。ニンニクとスパゲッティを一緒に
炒めて皿に盛りつけた。そして特製のスパゲッティソースをかけ
てだした。

「どう?」
「美味しいよ」
ヌチャナートは俺の言葉を半信半疑で聞いている。
「北と南ではタイ料理の味が違うだろ。イタリアでも同じだよ。
北イタリアの人が見ればこれは南イタリ
アの味だと思うかもしれ
ないよ」
イタリア料理でよく使うスパイスは何も使っていないが、トマトを使
ったスパゲッティソースとしてはまとまり
がついたよい味だ。
これならイタリア人も「イタリアの何処かの田舎料理」と感じる味だ
ろう。

このスパゲッティソースの作り方を誰に教わったわけでもない。
料理本で作り方を学んだものでもない。
ヌチャナートの味の記憶だけで作った料理でした。

2010/11/23

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