唐辛子の色
唐辛子に白い花が咲き、青い実が生る。やがて青い実が橙色にな
る。品種にもよるのだろうが、橙色になる前に黒ずむものもある。
それがやがて真っ赤になる。俺達が食用にするのは赤か青であっ
てその中間の橙色のものは食用にしない。橙色の物だって食用に
なるが、なぜか使わない。味も香りも赤いものと同じなのだが食べ
ない。中国からの輸入品も真っ赤な乾燥唐辛子だけを袋詰めにし
ている。橙色の唐辛子は混ざっていない。輸入業者が日本人の
嗜好にあわせたのだと思う。
日本人は唐辛子を余り食べないのに、唐辛子の色にこだわる。
唐辛子を大量に消費するタイ人は唐辛子の色にこだわらない。
日本で唐辛子を栽培しているタイ人から生唐辛子を送って貰うと、
赤から橙色、青いものまで一袋に混ざっている。
俺は色が混ざっていることが気になるが、ヌチャナートは気にしな
い。赤と青だけが混じっているのなら俺も気にしない。
橙色が気に入らないのだ。
真っ赤な乾燥唐辛子を長いこと放置しておくと、色が褪せて黄色か
ら白になる。
タイで乾燥唐辛子の作業をしていた。どんな作業だか思い出せない。
たぶん、唐辛子の実についているヘタ取りだったと思う。
俺もその作業を手伝った。青い乾燥唐辛子があったかどうか思い出
せないが、黄色の乾燥唐辛子があった。俺は黄色くなった唐辛子
は古いものだと思って取り除いていた。タイ人はそんなことを気に
しない。黄色い唐辛子も赤い唐辛子と一緒にしている。
俺が取り除いた黄色い唐辛子をタイ人は冷ややかに笑いながら
見ている。今、考えると黄色い乾燥唐辛子は橙色の唐辛子が乾
燥したものだろう。唐辛子の色にタイ人はこだわらないから、赤い
唐辛子と橙色の唐辛子を一緒に乾燥させていたのだと思うな。
2010/10/29
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