食事と食器
いつもタイ料理ばかりだから、旦那に日本の食事を作らないといけ
ないと思っているらしい。
俺はそんなことを気にもしていないのだが・・・・・。
「海の野菜のナムスップミソーを食べるでしょ?」
これって何のことだかわかります?
海の野菜というのは「わかめ」のことなんだ。
ナムスップミソーと言うのは味噌のスープ、つまり味噌汁のことだ。
俺に気を使って、秋刀魚の開きを焼くという。
納豆のにおいをタイ人は好まないが、俺が納豆が好きで買い込ん
であるのを知っている。
「納豆もたべる?」「いや、いらない」
秋刀魚の開きと味噌汁だけの簡単な食事にした。
ヌチャナートは完璧な日本料理を旦那のために作ったと思っている。
これを読んでいる人は茶碗に盛られた白い飯、朱色のお椀に入った
味噌汁、長細い皿に乗った秋刀魚の開きの光景を目に浮かべるは
ずだ。それは日本の食事には決まりごとがあり、その決まりごとを絶
対に外すことはないからそうなるのだ。
金持ちの家では漆で装飾を施したお椀を使っているだろうが、貧乏
人はプラスチックのお椀を使っているなんて差があるが、食卓の光
景はどの家も同じ型になっている。
旦那の茶碗は大型で、女房や子供の茶碗は小さい物と決まってい
る。幾ら、カーちゃんが旦那より大きく経済力があっても、旦那より大
きな茶碗で飯を食わない。旦那が使う箸はこれと決まっている。
他人がその箸を使うことはない。
飯は瀬戸物の茶碗に盛るものと決まっている。
味噌汁も木製かプラスチックのお椀に盛る。
この決まりごとをきちんと守っている。
こんなことは余りにも当たり前のことなので、日本人と生活していた
なら気づかない。
そのような細かなことまで外人であるヌチャナートにはわからない。
日本の食材で日本の味になっていれば日本の食事だとヌチャナート
は思っている。
ご飯はタイ式にお皿に盛ってだす。味噌汁の味は完全に日本の主
婦が作る味になっているのだが、スープ皿に盛ってだす。
その味噌汁をスプーンで食べろと言うのだ。
いくら美味しい味噌汁でもスプーンで食べると美味しさが半減する。
食事と食器の決まりごとをきちんと守るのが日本の食事なんだ。
ここまで考えてきたら、それと似た決まりごとがタイにもあるのでは
ないかなと感じた。
だが、俺達にはそんな決まりごとはわからない。
そんな中でも俺が気づいたことが一つある。
餅米を食べる場合、餅米を竹で編んだ容器に入れる。
俺は一口分だけ餅米を容器から取り出して食べているが、タイ人は
餅米を片手で一握りする。
だから、俺のように何度も容器に手を伸ばすことはない。
俺の食べ方をタイ人は汚らしい、下品な食べ方と見ているのかもし
れない。
2010/12/5
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