古い糠漬とタイ人の味覚
古い糠漬とタイ人の味覚
近所の八百屋の店先に胡瓜の糠漬けが置いてあった。
いつもタイ料理だし漬物もタイ風の漬物パクドンばかりなので、俺が和食を欲しがっているとヌチャナー
トは気を使ってくれた。
「日本のパクドンがあるわよ。これ食べるでしょ?」
胡瓜の糠漬をタイ人が見ると日本のパクドンと言うことになる。
なるほどね。これがタイ人の感覚なんだ。
「いらないよ」
「買いましょうよ」勝手に糠漬を手にとって買ってしまった。
”俺がいらないと言う物””俺が興味がない物”だったので冷蔵庫に入れたまま忘れていた。
ヌチャナートは冷蔵庫の中の糠漬を発見し、味見をしている。
糠漬は古漬けとなり酸味が増えている。
「酸っぱいわ。日本のパクドンはお酢を入れるの?」
「入れないよ。古くなっただけだよ。まだ食べられるよ」
「タイのパクドンも古くなると酸っぱくなるわ」
「同じだよ」
古漬けをそのまま味見して”腐っていない、まだ食べられる”こと
を確認したがまだ不安そうだ。切った古漬けをそのまま食べると
酸味が強いが、醤油の旨味が加わると甘味がでてくる。
「どうだい?」
「こっちの方が美味しいわ」
醤油をつけながら食べる古漬けの方が美味しいと言う。
俺も久し振りに食う糠漬を味わって、「こんな味だったのか」と糠
漬の味を思い出していた。
「ねぇー、この醤油に山葵を入れると美味しいと思うわ」
糠漬けに山葵醤油ね・・・・・・?うーん?俺はうなってしまった。
タイ人の味覚は日本人の発想から離れている。
醤油に七味唐辛子をいれることもあるから、山葵だって美味い
かもしれない。しかし、俺は久し振りに食べる糠漬けなので香
辛料なしの標準的な食べ方をしたかった。
何も入れない醤油だけで古漬けを食べた。
2011/2/20
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