これをつけてね
食事の用意ができた。
「これをつけて食べてね」
器の蓋を取って見せる。真っ赤な唐辛子ソースが入っている。
「うん」
俺は何事もないかのように返事をした。そして赤いソースを見た。
この赤って全部唐辛子だよね。それを何でもない普通のことのよ
うに感じている自分がいるのに驚いた。
この唐辛子の量って、普通じゃない、半端じゃないよね。
「これをつけろ!」なんて言われたら、日本人は飛び上がって驚く。
見ただけで「辛そー!これは駄目!」と逃げてしまう。
唐辛子だから辛いソースだよ。旨味も強いからこれが食える。
料理の方は豚の脛肉を煮込んだものだ。
脛肉だからちょっと固い。この固い肉を赤い唐辛子ソースと一緒
に食べろと言うのだ。
噛んでいるうちに唐辛子の辛さと肉の美味さが出てくる。
いつもこんな料理、こんなソースで食事をしている。
それが普通の食べ方だから、もう辛くて口の中が火事になる感覚
もない。しかし、この唐辛子ソースをつけて食べると汗がでる。
汗を拭きながら食べている自分が滑稽だ。
この程度の唐辛子を食ってもタイ人は汗を流さない。
俺達には激辛でもタイ人にはごく普通の辛さなんだ。
普段はタイ料理なんて食べない日本人が「辛い料理が好き」だな
んてタイ人に言ってごらん。それをまともに受け止めたタイ人は、
タイ人から見て辛い料理を作ってくれる。
辛くて泣いちゃうかもしれないから、タイ人に「辛い料理が好き」
なんて言わないほうがいい。
「辛くしないで」というと日本でいう大辛になると思う。
2011/3/11
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