鶏の足は美味い
平均的日本人は鶏の足は食い物ではないと思っている。
俺も鶏の足なんて食う物ではないと思っていた。
しかし広い世界ではその鶏の足を食べる民族が多い。
世の中には食べられる物が沢山ある。その中で俺達が食べ物と
認めている物だけが正統派の食べ物なんだ。俺達が食べ物と認
めていない鶏の足や蛙はゲテモノとして蔑む傾向があるんだな。
俺達が正統と認めている物でも、外国から見たらゲテモノなんて
物もある。
真っ赤な鯛を俺達は正統派の食い物と認めているが、あんな赤い
魚は気持ちが悪いと考える国もある。正統な食い物かゲテモノか
は各民族の偏見で決まるもんだ。
日本でも一部の人々は鶏の足を食べるあるいは利用している。
その形が紅葉に似ているので鶏の足を隠語でモミジと称している。
多くの日本人は鶏の足を出されると、それは食い物ではないと考
えるから気持ち悪がる。俺も最初は鶏の足を食うのが嫌だった。
コラーゲンが多いので口の中がぐしゃぐしゃするのが嫌だった。
食べにくいから手で食べると手がべとべとになる。それも嫌だった。
唐辛子の辛いソースと一緒に鶏の足を食べ続けていると、だんだ
ん鶏の足が好きになってきた。
今は鶏の足は美味いと思うようになっている。
鶏の足をゲテモノと見ている人は出された鶏の足の形をよく見てい
ない。これを料理するには前処理がいる。
まずは爪を切り落とさなくてはいけない。
これも面倒な作業だ。簡単な作業だが数が多いから大変だ。
次に人間で言えば掌にあたる黒い部分を切り取る。
鶏の足に黒い物があるなんて気づいた人はいないだろうな。
そのような繊細な処理をしてから出されるのを知らないだろう。
ブッチ切った鶏の足をそのまま料理したのではない。
どんな料理にもそれなりの苦労と工夫が施されている。
だから出された料理は感謝して食わなくてはいけないとつくづく思う。
タイの仏教は肉食を禁止していないから、タイ人は動物の食べら
れる部分は全て食べてしまう。肉食文化が根付いているタイと違
って日本は動物のほんの一部しか食べない。
文明開化以降に肉を食べ始めた日本人が鶏の足を正統派の食
べ物と認めるようになるまでにあと百年はかかるかな?
それとも有名タレントが鶏の足を「美味い、グルメだ!」と言えば
明日から正統派の食べ物になってしまうかもしれない?
2011/4/11
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