タイにあるカツ丼
食べ物と言うのはある場所から他の場所に伝えられると、オリジナ
ルの物とは違う発展をする。今では日本の食い物みたいな顔をし
ているトンカツも元をただせば欧州のシュニツェルだろう。
そのトンカツをさらに美味しく食べようと考え出されたのがカツ丼
だ。
日本のカツ丼がタイに移出した。現時点におけるタイのカツ丼は
日本のカツ丼の模倣だが、やがてタイのカツ丼も日本のカツ丼と
は似ても似つかないものになるだろう。
どのような形に変化するのか楽しみだ。
英語でLOTUSと書いてあるがタイ人はロータットと発音するスーパー
の中に日本のスカイラークが入っている。そこでカツ丼を食える。
他のタイ料理に比べると値段は高く設定されているが、けっこう
人気があるようだ。
ローマ字でkatsudon、タイ文字でカオナームウトンと書いてある。
注文すると、5ミリ厚ほどの薄いカツを取り出した。そのカツの衣
にはパン粉がない。厚い衣の唐揚げと思えばいい。
カツ丼、親子丼を作る鍋は”取っ手”が垂直についている鍋を使う。
そんな鍋はこちらにないから小型のフライパンを使う。
日本人には珍しくない光景だが、タイ人には小さなフライパンは特
殊な調理器具に思えるのだ。
フライパンに玉葱をパラパラと散らす。その上に超薄切り唐揚げ風
トンカツを乗せる。タレを入れてフライパンに蓋をする。頃合いを見
て、溶き卵を入れて蓋をする。青い物をパラパラと乗せるから、
なにを乗せたのかと見るとグリーンピースではなくて青ネギだった。
丼状の器に入れた飯にフライパンのカツを滑らせて乗せると出来
上がりだ。
お味のほうですか?甘いタレがかかった不味い料理です。
しかしこの味はタイ人に合うように作られているはずだ。
カツ丼というから日本の味を想像し、日本の味を期待する。
そんな味がタイ人の嗜好にあうはずがない。
タイではこの味でいいのだ。
タイ人はカツ丼をスプーンとフォークで食べる。
俺は日本風に箸でカツ丼を食べた。
カツ丼に使っている飯は粘り気のないタイ米だ。
そこに甘いタレをかけたものだから、ますます粘り気がなくなる。
箸で飯を食おうとしても食えるものではない。
日本の味を期待している俺が悪いのは百も承知だが、大変不味
い楽しい経験でした。
2011/5/3
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