明治時代の台所
明治時代に横浜を拠点に活躍したイタリア人写真家アドルフォ・
ファルサーリの写真がウエブにあった。その中に台所の写真がある。
四人の女が台所で仕事をしている。
ということはかなり大きな家で使用人も大勢いるのだろう。
女が床に座っているからここは土間ではなくて板の間だと思う。
釜の中を掻きまわしている様子から、これは飯を炊いているので
はなく、味噌汁でも作っているのだろうな。大きな釜だ。
一升炊きの釜かな?もっと入るのかな?
釜の色がまるでステンレスかアルミのように白いのが気にかかる
な?鉄釜のはずだから、黒いと思うのだが?
彩色をする時、黒では見栄えが悪いので白にしたのかな?
女が縦笛のようなものを持っている。女が持っている物は火吹き竹
といいうものだ。竹の節に小さな穴を開ける。
竹に息を吹き込むと穴から息が急速にでるので火が速くつく。
釜が乗っている黒い台のようなものを「竃」と書いて「へっつい」と言
う物だ。もうこれも死語だな。
水桶と柄杓がある。水道がないから井戸から水を汲んできたのだ。
木製の釜の蓋が立てかけてある黒い壺は火消し壺と言う。
これは調理が終わり、まだ燃えている炭や木をここに入れて消す
道具だ。こうして火事を防ぐと同時に、「消し炭」「おき」を作る。
「消し炭」や「おき」は簡単に火がつくので次回調理する時に利用
する。こんな光景はつい数十年前、敗戦で全てを失った東京の都
心でも見られた。
左から三番目の女は何かを切っている。
今の日本ではこんな風に作業をすることはない。
今でもこれと同じスタイルでタイでは物を切っている。
昔からこのスタイルで物を切っているので、台の上で物を切ろうと
しない。「台で作業をする方が効率的だ」と幾ら言っても、写真の
ようなスタイルで作業をする。習慣を直させるのは大変だよ。
右端の女は擂り鉢で何かを擂っている。
この写真を見たタイ人は右端の女はソムタムを作っていると思う
だろうな。
写真の出所はここだ。珍しい光景が見られる。
http://digi-6.com/archives/51741356.html
2011/6/15
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