黒鯛じゃないわよ
「綺麗に出来たわよ!日本人は黒い鯛だと思うでしょ。鯛じゃな
いわよ!」
出された料理を見るとティラピアの塩漬を焼いたものだった。
日本では姿が鯛に似ているのでイズミタイと言っている。この刺
身も美味い。パーニンとタイ語では呼ぶ魚で、タイの淡水には何
処にでもおり、貧しいタイの農家の重要な蛋白源になっている。
ティラピアを買ってくると直ぐに塩漬にする。
ウチの場合、料理を作るのには手間をかけないが、素材を買っ
てくるとすぐに保存食を作るので忙しい。
このティラピアも直ぐに鱗を落として、切込みをつけて塩漬した。
これを冷蔵庫に入れておけば、保存が利き、塩味が浸み込ん
で美味くなる。
「今日は魚でも食うか」なんて思うと塩漬の魚を取り出して焼く。
食べない尾鰭をタイ人は切り落としてしまうので、この焼魚を日
本人が見るとなんとなく間が抜けて見える。
合理的なのだが、俺達の習慣から見ると違和感がある。
黒鯛まがいの魚なんだが、やっぱり尾頭がないと魚らしくないよ
ね。日本人は料理を目で食うといい、見た目の美しさ完璧さを
要求する。尾鰭がなくとも味に違いがでないが姿が完璧でないの
で味が劣るような気がする。
蟹なんか茹でている時に足が落ちる。
落ちた足を元の場所において出せばいいのだが、それは完璧
な料理と考えない。
タイ人はそんなことを気にしない。
国民性の違いをティラピアの塩焼で見た。
2011/8/27
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント