箸とタイ人
我々の日常生活で一番よく使う食器は箸だ。
何でも箸を使って食う。箸では食いにくいトンカツやステーキな
どはあらかじめ箸で取りやすい大きさに切り分けておく。
ナイフとフォークで食う、どんな洋食も箸で食べてしまう。
タイで一番よく使われる食器はスプーンだ。正式にはフォークと
スプーンで食べることになっているが、庶民の家庭ではスプーン
だけで食べることが多い。麺類を食べる時には箸とスプーンを
使う。箸を使う頻度を比べると、日本人の方がタイ人よりも遙か
に多い。使う回数が多い分、日本人は箸の使い方がタイ人より
も巧みだ。大人になれば日本人もタイ人も箸を巧みに操れると
思っていたが、ヌチャナートの一言でそれが間違いであることが
わかった。
ウチでは普段は割り箸を使っているが、どういう気の変化か俺
は普通の箸を食卓にだした。高級な塗り箸ではない。
ごくごく普通の箸だ。
ヌチャナートはその箸を使わず、割り箸を取り出した。
俺は「箸がでているよ」と言った。
「その箸は使いづらいのよ。こっちの方がいいわ」
割り箸の場合、角があるから食べ物をつかみやすいのは事実だ。
普通の箸は先が丸っぽくなっているので食べ物が滑る。
子供は食べ物を箸から落とすが、大人になれば食べ物を落とす
こともない。大人になればタイ人だってどんな箸でも使いこなせ
ると思っていた。箸を使う頻度が少ないからタイ人は箸の使い方
が下手なのかもしれない。
それとも俺たちがタイでよく使われている中国風の太い箸を使い
にくいと感じるのと同じかな?
最近はエコとか言って牛丼屋、食堂などでも割り箸を使わなくな
っている。そんな店の箸はどれも同じ色の箸だ。
どの箸をとっても一対になる。
ウチで使っている箸は一対ごとに色が違っている。
俺達日本人は必ず同じ色の箸、あるいは模様が一対になるよう
に揃えて出す。それが普通で常識以前の習慣だが、タイ人には
そんな習慣がない。
同じ大きさ長さの箸であれば色や模様なんて関係ない。
赤と緑の箸を一対として出す。模様がそろわなくとも関係ない。
「それで食べられるからいいじゃないの」と言う考えだ。
まあ、その通りだ。
日本人は食事を目で食べる。料理や食器の美しさも食事の重要
な要素と俺達は考えるから、箸の色を揃えてだす。
タイ人はそのようなことをしない。
こんな所にも食文化の違いがでてくるのが面白い。
2011/8/13
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