たまには既製品を
いつもいつも手作り、自家製のタイ料理を食っている。
町に出ると最近はいろいろなインスタントタイ料理、タイから輸入され
た素材が出回っている。いつもはインスタント料理に見向きもしない。
ウチではナンプラなど基本素材しか買わない。それだけで充分にタイ
料理を日本で作れるからだ。
今日は賞味期限まじかな「タイハーブ鍋セット」というのが安売りして
いた。通常価格の半額だから買ってみた。
「今日はこれを食おう」買ってきた「タイハーブ鍋セット」を取り出した。
日本語は読めないが、包装の写真を見てヌチャナートは料理を理解
する。
「ねぇー、火鍋がある」
「あるけどなー ・・・・・・・」
鍋を用意して、片付けるのが面倒だ。鍋を取り出すのを躊躇った。
「いいわ、普通の鍋でやりましょうよ。冷めたらまた火にかければ
いいわね」
「そうだね」
こうして非正規の「タイハーブ鍋」を作った。
「タイハーブ鍋」と言うのは、水炊きのスープにタイの香草を加えて
煮込み、辛いソースをつけながら食べる料理と思えばいい。
スープを味見してヌチャナートは「美味しくないわ」と呟き、ベランダ
の香草を加える。包装には「タイスパイシーソースは非常に辛いの
で取りすぎに注意」と書いてある。
辛いと言うタイスパイシーソースを味見すると俺達には甘くて全く辛味
を感じない。ウチで作ったスパイシーソースを使うことにした。
いつも食っているナムプリック、ナムチムはもっと辛いのだと改めて
知った。添付されている袋の味に俺は満足できない。
「タイハーブ鍋」とこれを輸入している会社の名誉の為に断っておくが、
この製品が不味いのではなくて俺の味の好みが完全に変わっている
のだ。包装が指示しているのと同じ食べ方をしていないから、俺には
この味を美味いとか不味いという資格はない。
タイの田舎料理の味に慣らされてしまい、工業的に作られる味に馴染
まなくなっているだけだ。
辛いと言う「タイスパイシーソース」は日本人向けにアレンジされた味
かもしれない。俺には甘く感じられる「タイスパイシーソース」は生の
胡瓜につけると実にいい味になる。
金山寺味噌のタイ版と感じてしまう。
ウチではこの工業的な味は馴染まないが、日本の家庭で簡単に作れ
てタイの味を懐かしみ、楽しむにはいい製品だ。
2011/10/18
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