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2011年11月 6日 (日)

年寄りと唐辛子

昔々の話だ。その頃はタイ料理なんて殆ど口にしていなかった。
ごく僅かな体験、文献から東南アジアの料理は唐辛子が入っていて辛
いというのは知っていた。
料理研究家だか、医者だか農学の権威か忘れたが、
「唐辛子の辛味は慣れがくるとだんだん耐性ができて摂取量が増える」
と言っていた。
その時は「はあ、そうですか」とご高見を賜っていた。

東南アジアの料理を食っていて、
「どうして彼等はこんな辛い物を好むのだろうか?」
と不思議に思った。
小さな子供がどのようにしてこんな辛い物を食べるようになるのか?
きっと彼等は子供が辛い物を食べることができるように訓練してい
るに違いない。どうやって?うーむ?
例えば母親がオッパイに唐辛子を塗ってから授乳するとか?
最初は唐辛子の辛味にヒィーっと言っていた赤ん坊もやがてそれに
慣れてくる。そんな馬鹿なことはやらない。
子供は大人の真似をするので、最初は辛くない料理を食べていても
段々辛い料理に慣れてくる。特別な訓練をしなくても極々自然に大
人と同じ物を食べるようになるらしい。

俺もタイの幼児と同じような過程を経てタイの大人と同じような料理を
食べるようになった。唐辛子を食べ続けているうちに、辛味に対する
耐性ができるのは間違いない。
口の中が火事になる感覚がなくなる。口の中が痛いという感覚も分
からなくなる。最初は唐辛子が一本でも辛かったが二本入っても辛
さを感じなくなる。
タイ人は5本とか10本入ると「これは辛い料理だ」となる。
こうして辛い料理を食べ続けて年をとったタイ人はますます辛味を
欲するようになるのか?日本人が年をとると油っこい肉よりさっぱり
した魚を好むようになるのと同じく、タイの年寄りは辛い料理を好ま
なくなるそうだ。
日本の学者、医者、料理研究家はタイ人は子供から大人になるに
連れて唐辛子の摂取量が増えることは知っているが、年をとると唐
辛子の摂取量が減ることに気づいていない。
タイ人と生活し、タイの生活の中にどっぷりと入らないとこんなことは
分からない。

2011/11/4

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