幸せな食事
世の中はグルメグルメと騒いでいる。
美味しい物を食うことがそれほどいいことなのだろうか?
腹一杯美味しい物を食べれば幸せなんだろうか?
幸せな食事っていったいなんだろうか?
こんなことを考えていたら、ある主婦のことを思い出した。
服装だけで判断しては失礼なのだが、彼女は決して裕福な家庭の主婦
ではない。
「あのね、デパートの地下で思い切って高いお刺身を買ってきたの。」
「ほう・・・・」
「それを主人と食べたの。主人が美味しいって言ってくれたのよ」
「ああ、よかったね」
彼女はその時のことを思い出して頬を赤く染めた。
俺は「同じ物を食べてもお金持ちの主婦はそうは感じない。これこそが
幸せな食事なんだ」と思った。
彼女の上気した頬を美しいと思いながら見ていた。
「サミイはもっと野菜を食べなくちゃだめよ」
それは俺も分かっているのだが、野菜や魚よりも肉が好きだからつい
つい肉料理を多く食べてしまう。
「野菜を食べていると便秘にならないわよ」
ハイボールを飲みながら、ヌチャナートの話を聞いている。
「今日は肉はいらないよ。野菜だけにするよ。」とつい言ってしまった。
こんな野菜炒めのタイ料理を作ってくれた。
ナンプラと牡蠣油で味付けしただけのどうということのないタイ料理だ。
濃い緑と唐辛子の赤の対比が目をひきつける。
ちょうどよい塩味だと思いながら食っていると、唐辛子の辛味にあたる。
その刺激が食欲をそそる。
ヌチャナートが作ってくれる料理を美味いと思いながら食う。
高価な素材ではない、グルメと言われる素材ではない。
ありきたりの野菜を炒めただけだが、幸せを感じた。
2011/11/28
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