台湾バナナ
俺が子供の頃、台湾バナナと言う言葉には特別な響きがあった。
今の子供や若い人には信じてもらえないが、なにしろバナナなんて高価
でなかなか食えない時代だった。
当時のバナナは何処から輸入されていたのか知らない。
普通の大きさのバナナを食って美味いと思っていた。
「お前、台湾バナナ知ってっか?」
「知らねぇー」
「小さくて、甘ぇーんだ」
普通のバナナだって高い時代だ。まして小さくて甘い台湾バナナなんて
もっと高いのだろう。
子供心でそんな高価な台湾バナナなんて諦めていた。
初めて台湾バナナという物を食った時、甘くて香りがいいと感激した。
台湾バナナと同じ物かどうかわからないが、同じように小型のバナナ
をモンキーバナナと言う事もあったな。
スーパーに行くと俺が台湾バナナと言っていた小さなバナナがあった。
それを見るとヌチャナートは籠に入れた。
一房がたったの60円だ。昔のことを思い出すと隔世の感がする。
実際、時は流れている。
このような小さなバナナは台湾だけでなく、タイにもある。
小さなバナナをタイでは焼いたり、油で揚げて路上で売っている。
かっては高級で高価なバナナは果物の中で一番安いものになってし
まった。俺にはこのバナナは特別な存在なのだが、ヌチャナートには
ごくごく当たり前の存在だ。
「バナナなんてタイでは安いからなぁー」
なんだか溜息がでた。
2011/11/4
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